「美味礼讃」 海老沢泰久著 レビュー

「美味礼讃」といえば、フランスの美食家プリア・サヴァランの作品を思い出す。

若い頃に岩波文庫で読んだ記憶がある。

海老沢泰久著の「美味礼讃」は辻調理師専門学校の創設者である、辻静雄さんを描いたフィクション伝記である。

辻静雄さんの名前は聞いたことはあるけど人となりは知らなかった。

なにげにkindleで購入して読み始めたら、面白くてどんどん読み進めてしまった。

辻さんが調理師専門学校を始めた時代は、フランス料理といってもまともなレシピで調理されていることが殆どなかったそうで、日本にフランス料理を持ち込んで、調理師を養成していった過程が興味深い。

夫婦で、米国→フランスと正当なフランス料理を求める旅の過程は、辻さんが迷いながらも良いメンター達に恵まれて、やるべきことが徐々にわかってくるところは、ロールプレイングゲームのようだ。

日本料理、中華料理も学校として取り組んでいく過程も自分がフランス料理でやってきた手法を教員たちにやらせていくところも読み応えがある。

自分は調理人ではないけど、日本でのフランス料理の歴史を学びたくなった。

更に、近々フレンチを食べに行きたくなった。